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    CML(慢性骨髄性白血病)闘病情報
CML闘病情報



CMLとは

CML」とは「Chronic Myeloid Leukemia」の略です。日本語では「慢性骨髄性白血病」といいます。かつては、有効な治療法の乏しい致命的な病でした。
しかし、2001年頃に登場した分子標的薬イマチニブ(商品名グリベック)により、CMLの治療法は従来から大きく変わり、人によっては薬の服用のみで、骨髄移植を行わずに治癒も期待できるようになりました。
残念ながら、基本的には分子標的薬では病気を押さえ込めても根本的には治癒できません。さらに、副作用が大きく薬を継続して飲めなかったり、長期間投薬を続けるうちに白血病細胞が薬への耐性を獲得してしまう場合も稀にあります。 そのため、現在、続々と新薬の研究開発が行われており、すでに第二世代のニロチニブ(商品名タシグナ)、ダサチニブ(商品名スプリセル)などの薬が日本でも利用されています。さらに、第三世代のポナチニブ(海外商品名アイクルシグ)も存在しています。 薬を飲むだけで癌を完治できるような時代に向けて、いわば、がん治療の研究開発の 最前線の病となっています。



●最初におすすめの動画

※こちらの動画の説明を基準として、人それぞれ状況には非常に大きな差があると理解されるとよいと思います。(副作用が重い方など、病を簡単に言ってほしくない方もおられるかもしれませんが、今、不必要な不安で体調を悪くされている方がいるなら、そういう方が前向きに思えるような言葉を優先すべきではないかと思っています)「安心してください。でも、油断しないでください」
※木村晋也教授の講演と、学生時代に発病されたCML患者さんの体験談です。
※木村晋也教授の講演の上記より古い版です。ボシュリフの解説など最新情報はありませんが、Q&Aなどは豊富です。全体で約2時間(前半の講演、後半の質疑の2パートで、それぞれ約1時間)と長いですが、多くの疑問を解決できると思います。



●最初にしたこと。

※以下は、CML/CP(慢性期)の場合です。
  • 確定診断:まだ病名が確定していない場合確定診断(マルクによる検査)が必要です。検査結果が出るまでに1週間程かかります。その間に以下を行います。
  • 体調を整える:分子標的薬の投薬開始直後は特に負担がかかります。心身共に充実し穏やかになることが、最もすべきことだと思います。
  • 分子標的薬(TKI)の理解:治療では数種類ある分子標的薬(TKI:チロシンキナーゼ阻害剤)のうち1つを選択します。具体的には、グリベック、タシグナ、スプリセルの違いを把握するのが望ましいです。もし、薬の選択で希望があれば伝えられるよう準備。飲み忘れをしないことを念頭に生活パターンとの相性、副作用の違いなどを見るとよいです。最も重要な点は、分子標的薬(TKI)は、過去の癌関連本でよく批判されてきた昔の副作用の強い抗癌剤(化学療法)とは全く異なる画期的な特効薬だという点です。さらに、CMLは盛んに研究されており毎年のように治療技術が向上しています。古い情報に惑わされないよう注意が必要です(本サイトでは記事になるべく年度を併記しています)。(→分子標的薬について, →困ったときの用語解説
  • 限度額適用認定証:健康保険組合に問い合わせ申請します。前提となる高額療養費制度についても把握しておく必要があります。限度額適用認定証を取得しない場合、おそらく数十万円単位の治療費の立替(一時的な自己負担)や組合によっては領収書の提出/還付手続きなどが必要かもしれません。(→高額療養費制度/限度額適用認定証について
  • 各種保険:がん保険など加入していれば、適宜問い合わせします(早期発見の場合入院するほではないので、あまり期待できないかもしれません)。
  • 職場等の休暇の備え:分子標的薬の投薬開始直後は人によっては体調を崩す可能性があります。副作用の中には自覚症状が無いものもあるので、基本的には自重すべきと思います(人によっては、これまで通り仕事や生活ができるとも思います)。
  • 避妊:女性は治療中妊娠していると問題になります。逆に男性は、服薬開始までが、今後は貴重になる「分子標的薬に暴露されていない状態の精子が確実に得られる期間」になります。(→分子標的薬の副作用補足



●鉄則 

  • まずは分子標的薬:分子標的薬は大変高価ですが従来の抗がん剤とは全く異なる画期的な治療薬です。(たとえ、実際に癌を克服した知人や家族から、分子標的薬を過去の抗がん剤と同じものと考えて飲まないほうがよいだとか、かわりに世界で唯一の画期的な免疫療法のようなものを強く勧められたとしても、そういった手段は最初から使うのではなく奥の手として温存しましょう。)
  • 分子標的薬は飲み忘れ厳禁:分子標的薬は月に数回飲み忘れただけでも全体の治療効果が激減するという報告があります。
  • 早期にCMLの全体像を把握:少なくとも分子標的薬の種類と違いについては、確定診断によりCMLが確定するまでに把握したほうがよいです。
  • 最初の一年間は全力で治療:最初の一年間の治療成績が良いほど予後がよいという傾向があります。とはいえ、何か行動できることは限られているので、心構えの問題です。
  • 油断しない:治療が順調に進んでも、薬を飲み忘れるなど油断してはいけない。治療開始から2~3年目に問題が発生する確率が最も高くなるという報告もあります。



●最初の疑問(&個人的経験談)。

※CMLでは日々の技術革新や新事実の発見により状況が変っています。 ご自身の命や人生に関わる問題ですので、他のサイトの情報なども閲覧頂き、ご自身の見解で判断されることをお勧めします。以下はCML/CP(慢性期)中心に、参考までに記載致します(2015年記載)。
  • Q:第二慢性期とは?:一度、移行期や急性期になってから治療により慢性期に戻った場合、第二慢性期と呼びます。最初から慢性期(初発慢性期、第一慢性期)だった場合よりも白血病細胞が強化されている恐れがあるため、第二慢性期と呼んで区別されています。
  • Q:マルクはどんな感じか?:やってみると、思ったほどではなかったです。何度もやりたいものではないです。検査後、その日は風呂に入れません。翌日からは普段通り生活できました。特に確定診断については選択の余地はないので、はやめに受けたほうがよいです(結果が出るまでに時間がかかります)。
  • Q:今まで通りに過ごしていて良いのか?:現時点で特に問題ないと医師が判断しているということなので、(現時点では)今まで通りの生活をしてもかまわないのでしょうが、先々どのような結果になっても後悔のない日々を過ごせているかという意味では、患者側の責任でどのように過ごすか判断することになります。率直に不安が大きい旨伝えれば医師も休む方向でも対応してくれると思います。悪い結果から良い結果まで非常に幅があるため悩ましいですが、それが今のCMLという病なのだと思います。
  • Q:あと何年生きられる?:分かりません(そもそもCMLになる前から(健康でも)分からないことなので、何も変わらないという側面もあります)。ですが、早期発見なら無治療でも多くの場合2~4年以上は慢性期のままです。分子標的薬ができる前、かつてCMLが致命的な病であった頃でも10年以上生存する人はいました。将来の危険の程度は、実際に治療を開始することで得られる治療成績データが目安にされています(※治療開始から3ヶ月目、6ヶ月目、12ヶ月目の検査データの取得が役立ちます。担当医にお願いして、検査日をあわせてもらいました。このデータがあると、論文やELNのガイドラインの内容と自分の治療成績を綺麗に比較できます)
    特に最初の三ヶ月~1年の成績がよければ予後もよいと期待されています。個人的には、白血病細胞の増殖を、目先押さえ込めている実感が出る(根拠となる治療成績データを得る)のに2年ぐらいかかりました(気持ちの問題があることや検査頻度の違いもあるので、期間は人それぞれの考え方や治療経過等によると思います)。 ともかく、論文などの資料で色々調べたい場合には、最初の1年間の治療成績が自分の状況(予後)を想定するための一つの(時には数少ない)手がかりとなりますので、(やりたい仕事は続けながらも)治療優先&検査データ取得されることをお勧めします(CMLは不安との長い戦いという面もあります。最初の1年の良好な成績は大きな心の支えになる可能性があります。なお、最初の1年間の成績は、あくまで目安で、それにより絶対安全、絶対危険ということではありません。結局100%確実なことはわかりませんので、知ろうとせず医師を信じて心を楽にするのも一つの道と思います。
  • Q:自分の状況は危険か?:上述のように、本当のところは実際の治療成績をみないとわかりません(2015年記載)。ですが、治療開始時でも、いくつかの目安はあります。
    • 病期:確定診断(マルク検査)により病期が移行期/急性期と診断された場合、慢性期よりも危険です。
    • WBC(ホワイトブラッドセル:白血球数):CML発覚時に1万~3万ぐらいだったなら早期発見、数10万を超えてくると遅めになると思います(昔は今ほど定期健診が充実していなかったので10万越えは普通だったようです)。あまりに遅いと危険な状況かもしれません。
    • 付加的な染色体異常:確定診断(マルク検査)で「付加的な染色体異常」があることが分かった場合、そうでないより危険です。
    • 脾臓の腫れ:エコー検査などで脾臓の腫れ(肋骨の下あたりの腫れ)が指摘された場合は、そうでない場合より危険です。
    • T315I遺伝子変異:人によっては、最初から遺伝子変異を調べることができ、その結果T315Iと呼ばれる遺伝子変異が見つかった場合、そうでないより危険です。多くの場合、あれこれ調べるより、まず先に治療(投薬)開始すると思います。T315I陽性でも薬が効く人は問題ないようです。
    • Sokalスコア:古い指標ですがSokalスコアというリスクを三段階で分類する指標があります。論文などでもよく出てくるので自分のSokalスコアを知っておいてもよいかもしれません。(→Sokalスコアの計算
    • 年齢:若年層(30歳以下)では、身体の成長が鈍るなど、年長者には見られない副作用や傾向が報告されています(本サイトでは若年層のみに見られる事項については確認しておりませんのでご注意ください。小児CMLに関しては「いずみの会」に情報があります。)。
  • Q:どの分子標的薬がよいか?:治療効果に関しては、事前に自分にとって最適な分子標的薬がどれであるかはわかりません(2015年記載)。投薬回数や投薬時の食事制限の有無、予想される副作用などを見て、もし仕事や生活への影響が大きい事項があれば担当医に希望を伝えるのがよいと思います。むしろ、いったん順調に飲み続けることができてしまうと、薬の切り替えは(集中的な経過観察が必要になり、経済的にも時間的にも)負担になるため、最初に選んだ薬をずっと飲むことになると思います。月に3回以上飲み忘れると効果が激減するという研究結果もありますので、『飲み忘れしないこと』がかなり重要です。 高額療養費制度により、基本的には、どの薬を選んでも患者個人の経済的負担に差はありません。(→各薬剤の添付文書)
  • Q:主な分子標的薬の副作用は?:薬の種類や人それぞれの体質によってかなり差があります。実際に服薬してみるしかないです(2015年記載)。一般的には、どの薬剤でも白髪の増加、あるいは、皮膚の脱色(女性は嬉しい)はあるようです。また、全身倦怠感もよく言われます。スプリセルの場合、人によって程度にかなり差がありますが、顔や足などが浮腫みます。詳しくは各薬剤の添付文書に記載されています(→各薬剤の添付文書)。また、いずみの会のアンケート報告書には患者目線での副作用データが記載されています(→いずみの会CML患者の意識・生活に関するアンケート報告書(P8~P15))。
  • Q:副作用の時期は?:スプリセルやタシグナについては、特に最初の一ヶ月~三ヶ月は(自覚症状の無いものも含めて)大なり小なり異変があると思います。人によってかなり差があると思います。副作用はしだいに落ち着いて長期的に投薬を続けられる(三ヶ月処方できる)ようになりました。なお、個人的には、スプリセルによる浮腫みは1年弱経過してから出るようになりました。はじめて薬を飲むときは緊張します。特に異変を感じることなく1週間すごした後、検査に行ってみると体の中ではあちこち数値がおかしくなっており、対処のため色々薬が出ました。次々に新たな症状が出ましたが、2~3ヶ月ぐらいで落ち着きました。筋肉痛の症状は、2年4ヶ月経過してから突如でました。最初は痛みで立ち上がれないほどでしたが、しだいに慣れて、やがて治りました(副作用による筋肉痛とは直接関係無かったのかもしれませんが、このような副作用の可能性がある症状がでた場合、薬を飲み続ける限り逃れられない症状にはなってほしくありませんので自重せざるを得ません)。薬を飲む時間は、飲み忘れが起き難いようなタイミングがよいと思います。順調にいけば、日々薬を飲み忘れないよう努めることになります。
  • Q:経験豊富な名医に治療を依頼したほうがよいか?:個人的には、慢性期で特に緊急の問題なければ、CMLの治療は結局、薬を飲み続けることにかわりないので、(服薬が順調なら、)命に関わる部分で大きな差があるとは思いません。また、医師の違いで差が出ないよう、治療手順(プロトコール)も定められています。医師は大事だとは思いますが、いきなり過剰に名医を求めるよりは、まずは、速やかに治療開始するのがよいと思います。そして、服薬の副作用が大きい場合や、治療開始後三ヶ月~一年の結果があまり良くない場合や、確定診断時点での状態が悪い場合や、骨髄移植の可能性などが指摘された場合など、状況を把握されてから、より実績のある医院のセカンドオピニオン等検討されるのがよいと思います。





~資料リンク集~


●CML治療に関する基本的な情報は以下のサイトで得られます。



●CML治療に関する動画(Youtube上で公開)です。



●以下は、CML治療に関する詳細な情報です。







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